トコジラミはバルサンなどの殺虫剤・燻煙剤で駆除はできるのでしょうか?
結論からいうと、近年のトコジラミは、市販されている燻煙剤などの殺虫剤で完全駆除することは難しい傾向にあります。
その理由を3つ紹介します。
南京虫(トコジラミ)駆除が薬剤で完全駆除できない理由
南京虫(トコジラミ)が殺虫剤で駆除ができない時の主な理由は次の3つです。
(1)トコジラミに薬剤耐性があるから(殺虫剤が効かない)
昭和の時代に殺虫成分の強い薬剤により本格的に駆除をして一時期はトコジラミを日本でみることはほぼなくなりましたが、近年のトコジラミはピレスロイド系の薬剤に対する強い抵抗性を持っている傾向にあります。
例えば、市販されている燻煙剤の多くは、ゴキブリやノミなどに対しては高い効果が期待できますが、
ピレスロイド系殺虫剤の混合剤であるため、薬剤への抵抗性の強いトコジラミに対しては効果が見込めない場合があります。
近年のトコジラミの90%近くがピレスロイド剤に対して抵抗性を示していると言われているためです。
でも、市販薬剤の効果効能にはトコジラミって?
市販薬剤のパッケージの効果効能に、ゴキブリやノミなどと一緒に「トコジラミ」と記載されていることがあります。
現在のようにトコジラミの薬剤に対する抵抗性の問題が生じる以前に薬事法に登録されているものでも効果効能として標榜することができるため、現在の薬剤抵抗性の強いトコジラミに対しては効果があまり望めないものも多くあります。
(2)畳の裏や家電・家具の隙間などに潜んでいるから
燻煙剤は、畳の裏側や家具や家電の隙間の内部などに潜んでいるトコジラミまで有効成分の到達が難しいため、
被害が見られる室内の状況によっては効果が高いとは言えません。
トコジラミの生態上、夜行性で明るいうちは、隙間に潜んで隠れていることもあり、
トコジラミの駆除は、燻煙剤では駆除が困難と言えます。
(3)やがて卵が孵化するから
燻煙剤や薬剤では卵の内部まで有効成分が浸透することが難しく、
孵化後に再度駆除を行わなければ、新たに繁殖してしまう結果となります。
トコジラミ対策に完全駆除が必要な理由
トコジラミは完全に駆除をしなければ、
やがて、トコジラミの優れた繁殖能力によって大量発生を繰り返してしまいます。
トコジラミの雌は、毎日5-6個の卵を産み続けます。
したがって、受精した雌のトコジラミを1匹でも生かしてしまえば、
たちまち、卵が孵化して、幼虫が成虫となり、
大量発生を繰り返してしまうのです。
トコジラミ被害を解決するには、完全駆除が必要なのです。
前述のように、現在のトコジラミは薬剤耐性がみられる傾向があり、
また、トコジラミの生態の特徴から、単純に殺虫剤を散布する方法では駆除はできません。
トコジラミ被害を放置しておくと、
深刻な状況となってしまうことがあります。
また、自宅だけではありません。
自宅で繁殖したトコジラミが荷物や衣類などに紛れて職場に持ち込み、職場での繁殖、職場から同僚宅への繁殖と、分布場所が拡大してしまいます。
トコジラミの完全駆除は、自分で行うのは、非常に難しいです。
早めに専門の業者に相談することをお勧めします。
まとめ
現在のトコジラミの90%以上は、ピレスロイド系の薬剤に対して強い抵抗性を有しています。
現代とは違い、トコジラミに薬剤抵抗性の問題がなかった時代に「トコジラミ駆除剤」として薬事法に登録したものであれば、
効果が期待できないことがあります。
加えて、トコジラミの生態の特徴から
薬剤の有効成分が浸透できない僅かな隙間に潜んでいることが多く、
孵化後の卵の処理なども含めて処理を行わなければ、駆除が難しい特徴があります。
トコジラミ駆除を行うときには、以上のことに注意しなければいけません。
トコジラミは繁殖能力に優れているため、状況が深刻にならないうちに、専門の駆除業者へ依頼することが間違いありません。