私たちが普段よく呼ぶ「コバエ」とは、小さなハエの総称で、

ショウジョウバエ、キノコバエ、ノミバエ、チョウバエなどの種類があります。

正式には「コバエ」という種類のハエはいませんが、
コバエは種類によって、その特徴や発生場所が異なります。

コバエと呼ばれる主な小さなハエ
ショウジョウバエ:
体長2.5mm程度の黄茶色の個体。腐れた果物や腐食物に集まる。生ごみのある場所や台所が主な活動場所。

ノミバエ:
体長2ミリ程度の黒褐色の個体。腐った植物やゴミに発生。食品(特に肉など)に潜り込み産卵することがある。

キノコバエ:
体長2mm程度の灰黒色の個体。湿気の多い薄暗い場所や腐れた植物の周辺(腐葉土)を好んで生息。
観葉植物に与える腐葉土に卵を産卵していることがあり、室内に発生することがある。

チョウバエ:
体長5mm程度の黒色の個体。浴室、台所などの排水、下水管、湿地、沼地など水源があるところが主な生息地。

ショウジョウバエとは?

ショウジョウバエとは、ショウジョウバエ科(Drosophilidae)に属する昆虫の総称のことです。
現在のところ、日本では、26属311種が確認されていると言われています。

英語では、 fruit fly(果実蝿)、 vinegar fly(酢蝿)、wine fly(ワイン蝿)と呼ばれており、樹液や腐果実、キノコ、ゴミ溜めが発酵した腐食物に集まり、天然の酵母(イースト)を食料としています。

ショウジョウバエは、眼が赤いのが特徴ですが、
和名の「ショウジョウ」とは、酒飲みが眼を赤くして舞う「猩々(しょうじょう)」に由来すると言われています。

ショウジョウバエは、生物学の多くの分野でモデル生物として用いられています。発育が早く、特別な餌がいらない飼育の容易さや、染色体が少なく遺伝子の重複が少ないなどの遺伝的な特性から、遺伝学の研究に用いられており、知見や技術の蓄積に貢献しています。


※上記は文部科学省検定教科書 高校「生物」の著者 矢嶋正博氏 Yajima Masahiro が制作した映像です。キイロショウジョウバエの観察(走査型電子顕微鏡) 高校生物実験

キイロショウジョウバエの特徴と発生箇所

キイロショウジョウバエ

10mm/辺の正方形マス

キイロショウジョウバエは、成虫の体長が約2.5mm程度で、黄色っぽく透明感のある体色を持つ特徴があります。また、成虫は主に腐敗した果物や野菜などの食品を好むため、台所やゴミ箱周りで一般家庭でも頻繁に見かけます。また、外では自動販売機やコンビニなどの飲みかけの空き缶が入ったゴミ箱の周辺でもみかけます。

キイロショウジョウバエは、酵母(イースト)を食料としています。そのため、ビールやパン、果物を扱っている食品工場などではキイロショウジョウバエが臭いによって誘引され、工場内で発生することがあります。食品工場では製品への異物混入を防ぐための対策が必要です。

キイロショウジョウバエは、死骸や糞尿に集まることはないため、病原体を媒介する昆虫とされていませんが、人に与える「不快感」と食品衛生上の「異物混入」が問題となっています。

キイロショウジョウバエによる被害とその対策

キイロショウジョウバエの対策で重要となるのは、発生源を作らないように食品や生ごみを放置しないこと、清潔な環境を維持することです。
食品工場などでは、キイロショウジョウバエを工場内に侵入させないための網戸や扉を適切に設置することが求められます。また、発生したキイロショウジョウバエの成虫対策としては、トラップによる捕獲と殺虫剤による駆除があります。トラップと殺虫剤は卵には効かないため、いずれにしても、食品やゴミの管理と適宜清掃を行うことが重要です。