アライグマの原産地はアメリカやカナダ南部ですが、日本では1970代後半にアライグマのペットブームで輸入をされて来ました。
アライグマは、成長すると、可愛らしい見た目とは反して粗暴になる個体が多く、飼い主が飼育しきれないことから遺棄される個体も全国的にみられました。また、起用な前肢で飼育施設の扉を開けて逃亡するなどもありました。このようなことが背景で、野生化したアライグマが繁殖をし、農作物や人家などで被害を及ぼしていることが昨今の問題となっています。

アライグマ被害

アライグマ
アライグマによる被害は、「農林水産業被害」、「生態系被害」、「生活環境被害」、「人獣共通感染症」といわれます。

農林水産業被害

アライグマは雑食性であるため、様々なものを食べます。
そのため、アライグマによる被害は多様です。
農林水産の被害では、特にトウモロコシ、メロン、スイカ、イチゴなどの野菜、果樹、家畜飼料などが深刻です。
畜産被害では、ニワトリを食べる、和牛の乳首を噛み切る、牧草のロールやパックの破壊などがあります。
養魚場でも、アライグマに魚を捕食されるなどの被害がみられているようです。

アライグマは、夜行性であるため、基本的には夜間に活動をしますので、目撃することができずに被害に遭ってもアライグマだと気付くことがなかなかできません。
アライグマは指が長く前肢を起用に使うため、スイカなどの皮に小さな穴を開けて、前肢を使って液果だけをすくいだす、器用な指でトウモロコシの皮をむくなど、アライグマには他の害獣とは異なる特徴的な加害形態もあり、アライグマだと見分けるポイントとなります。

生態系被害

アライグマには天敵となる生物がいないため、既存の生態系に影響が及ぶ恐れがあります。
例えば、北海道のアオサギが営巣していた地域での営巣地放棄の原因にアライグマが生息したことが疑われています。
アライグマは雑食で小動物を捕食しますが、千葉県では、手肢のないイシガメが大量に発見されており、アライグマによる捕食が疑われています。

生活環境被害

アライグマは、人間の生活環境の中では、犬、猫、鯉などのペットを襲い危害を加えることがあります。
また、人家の屋根裏や空き家に侵入して棲み付き、糞尿による汚染、泣き声による騒音被害に悩まされます。
また、京都を始めとした歴史的建造物や文化財の破損も大きな問題となっています。

人獣共通感染症

狂犬病 

海外渡航者の発病を除くと、現在、日本は狂犬病についての発生はありませんが、海外では多くの国で野生動物にも発生しています。
そのため、欧州や北米では、アライグマを含む媒介動物の密度を低減させたり経口狂犬病ワクチンの散布など様々な狂犬病対策を行っています。
※2020年9月3日 日本は豚熱を封じ込められなかったため清浄国の認定を取り消されました。

アライグマ回虫による幼虫移行症

現在のところ日本で野生化個体で発見された報告はないようですが、飼育個体では報告されたそうです。

アライグマ糞線虫

人の皮膚病の原因となります。国内の野生アライグマから確認されたとのことです。

犬ジステンパーウイルス

犬や猫の感染症です。(人には感染しません)

※外来生物法において被害防止の対象とされているのは、生態系、人の生命、若しくは身体(感染症に係る被害を除く)、農林水産業にかかる被害です。

アライグマの特徴

見た目・身体的特徴

ハクビシン

体:灰白色が多い。中にはほとんど黒色もいる。眉間に黒い筋(目の周りから頬にかけて、大きなクマのような黒いマスク模様がある)。頭胴長は 41~60cm、尾長は 20~41cm、体重は 2~10 数 kg が一般的。
尾:毛が長くふさふさとしている。
その他:前肢の指が長く、器用に物を掴むことができる。歩くときにかかとが地面につく。足跡は 5 本の指がはっきりわかれ、人の手に似る。ヒゲは白く目立つ。耳は大きく白い縁取り

生活の特徴

アライグマ
アライグマは、様々なタイプの森林、湿地、農耕地を含む里地や住宅地など、人が生活する場所を含む幅広く多様な環境での生息ができます。
寒冷な北海道から温暖な九州まで、生息が可能で、原産地では熱帯にまで生息しています。
森林地などでは、樹洞などをねぐらや巣として使われているが、人が生活をする環境では、家屋の屋根裏などを良く利用します。
寺社仏閣や住宅の屋根裏で繁殖することも多くみられます。
繁殖は年に1回で、平均3~4頭、多ければ7頭を出産します。出産期は4月~6月ですが、前後にずれることもあります。
ハクビシンは、一夫多妻制の社会で、基本的には雌が子供を育てます。
ハクビシンは出産する子の数が多いにもかかわらず、1歳未満の死亡率が50%未満と低く、繁殖率が非常に高い動物です。
寿命も長く、野外での最長寿命は 13~16 年、 飼育下では 22.5 年といわれています。

雑食性のアライグマは、環境に順応して様々な餌を食べる傾向があり、果実、木の実、柔らかく養分の多い茎や地下茎、野菜、穀類のほか、小型哺乳類、鳥類(主に雛と卵)、爬虫類、両生類、魚類、昆虫や甲殻類などを好んで食べます。
アライグマは一般的には夜行性ですが、人や天敵が活動する日中を避けていると考えられ、条件によっては昼間でも活動をします。
日中は樹洞や他の動物が掘った穴、屋根裏、廃屋などに入り込んでいることが多い。
行動範囲は、環境条件で変わり10ha から 2,000ha 以上まで様々と言われています。