トコジラミはバルサンなどの殺虫剤・燻煙剤で駆除はできるのでしょうか?
結論からいうと、トコジラミのバルサンでの駆除は難しいです。
その理由は、次の3つです。
・近年のトコジラミはピレスロイド系統の殺虫剤抵抗性が高い
・交尾を終えた雌のトコジラミは毎日産卵し、一生のうち500個の卵を産む(完全防除の必要性)
この記事では、難防除害虫「トコジラミ」がバルサンなどの燻煙剤で駆除が難しい理由について説明します。
トコジラミが燻煙剤で駆除できない理由
トコジラミは隙間に潜むため煙が行き渡らない
燻煙剤は、畳の裏側や家具や家電の隙間の内部などに潜んでいるトコジラミまで有効成分の到達が難しいため、
被害が見られる室内の状況によっては効果が高いとは言えません。
トコジラミの生態上、夜行性で明るいうちは、隙間に潜んで隠れていることもあり、
トコジラミの駆除は、燻煙剤では駆除が困難と言えます。
また、燻煙剤や薬剤では卵の内部まで有効成分が浸透することが難しく、
孵化後に再度駆除を行わなければ、新たに繁殖してしまう結果となります。
薬剤耐性ができたトコジラミ
昭和の時代に殺虫成分の強い薬剤により本格的に駆除をして一時期はトコジラミを日本でみることはほぼなくなりましたが、近年のトコジラミはピレスロイド系の薬剤に対する強い抵抗性を持っている傾向にあります。
例えば、市販されている燻煙剤の多くは、ゴキブリやノミなどに対しては高い効果が期待できますが、
ピレスロイド系殺虫剤の混合剤であるため、薬剤への抵抗性の強いトコジラミに対しては効果が見込めない場合があります。
現在、日本のトコジラミの約9割以上がピレスロイド系統の薬剤に対して抵抗性ができていると言われています。
殺虫剤の抵抗性とは、同じ成分の薬剤をずっと使い続けると、駆除に必要な薬剤量がだんだんと増えていき、やがて薬剤が全く効かなくなるという薬剤に対する免疫ができてしまうことを言います。
~燻煙剤の成分の一例~
メトキサジアゾン(オキサジアゾール系)
フェノトリン(ピレスロイド系)
d・d-T-シフェノトリン(ピレスロイド系)
上記のように、ある燻煙剤製品の成分表を見ると、複合型のピレスロイド系統の薬剤です。
こちらの製品ではオキサジアゾール系の成分が含まれているので、直接個体が薬剤を暴露した場合ではトコジラミに対する致死効果は期待できそうですが、
成分比率によっては、抵抗性の高いトコジラミのコロニーの場合では致死に至らない可能性も考えられます。
ところで、何故、多くのピレスロイド系統の殺虫剤の効果効能にトコジラミが表記されているのでしょうか?
トコジラミに対しての効果効能を標榜するには、薬事法における登録が必要となり、以前はゴキブリに対する効果効能が認めれれるとトコジラミに対しても効果効能を標榜することができていたため、そのまま表記されているものと思われます。
現在のトコジラミに対しては、抵抗性をもつ個体が9割以上と言われていますので、市販の殺虫剤を使用する場合では成分に注意する必要があります。
市販で有名な製品だと、カーバメイト系「プロポクスル」を殺虫成分としたバルサンまちうけスプレーを、トコジラミが潜むところや、通りそうな場所に注入することが有効です。
バルサンまちうけスプレー
https://varsan.jp/products/varsan/4580543940255/
雌1匹で500個の卵を産む繁殖力
トコジラミは、1度交尾するだけで、毎日5~6個の卵を産み続け、一生のうちに500個の卵を産む繁殖力があります。
そのため、一匹残らず完全に駆除を行わなければ、繁殖を繰り返してしまいます。
さいごに~トコジラミを駆除するにはどうすれば良い?~
煙の行き渡らない「隙間」に潜む習性、ピレスロイド系統への「薬剤抵抗性」、「1匹の雌から爆発的に繁殖する能力(完全駆除の必要性)」、この3つの理由から煙によるトコジラミの駆除は難しいことをお伝えしました。
それでは、トコジラミを駆除するためにはどうすれば良いのでしょうか?
トコジラミが潜む場所を探し、
・掃除機で吸う
・トコジラミに効果のある薬剤を注入処理する
・トコジラミがいそうな場所に残留処理をする
ことです。
高温のスチーマーを使って卵を駆除することも効果的です。
また、吸血対象がいないことを前提として、1年半~2年間、開かずの間にして、トコジラミを兵糧攻めして餓死させる方法も考えられます。
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