ハクビシンの生態
(1)身体的特徴
ハクビシンの身体の大きさは成獣で全長90cmから110cm、体重は3㎏~4㎏、体の大部分が灰褐色で、短い四肢は黒色です。
ハクビシンの見た目はタヌキとも似ていますが、眼の下や耳の前に白い斑紋があることが、ハクビシンの大きな特徴です。
また、タヌキの足の指本数は4本ですが、ハクビシンの足の指は5本です。
(2)行動
ハクビシンは夜行性で、昼間は、樹洞や洞窟、人の家の天井裏や屋根裏などを寝床にしています。
平地から山地に生息していますが、人が住む集落で農地やため池などがある里山の環境を特に好みます。
ハクビシンの行動範囲は30ha(3000m×3000m)~70ha(7000m×7000m)程と言われており、行動圏内にねぐらを複数持ち、転々と移動をします。
市街地周辺に生息する個体は、主に側溝を移動ルートとして利用しています。木登りが得意で、都心部では電線を移動手段としていることが目撃されます。
冬に行動の範囲は狭くなりますが、冬眠はしません。ハクビシンは縄張りは持ちません。
(3)繁殖
ハクビシンの出産は一年に1回です。(地域によっては2回出産することもあります。)
繁殖期は特になく、1年を通じて出産をします。妊娠期間は、約2カ月間で、一度に産む子供の数は平均で2頭から3頭です。
(4)食べ物
ハクビシンは、食肉目ジャコウネコ科ハクビシン属に分類される食肉類で主には果物が好物です。中でも甘くて軟らかいもの(ブドウ、バナナ、イチゴなど)を好みますが、雑食性でニワトリまでも食べます。農作物の果樹被害が多く報告されますが、野菜類、小動物、昆虫、鳥類やその卵などを食料としています。
(5)寿命
ハクビシンの寿命は、野生で約10年、飼育環境では約20年(最高年齢は24歳)、野生のハクビシンの方が短命です。
被害対策
ハクビシンは、人家の天井裏をねぐらとすることがありますが、溜め糞と呼ばれる同じ場所に糞尿をする習性があるため、そのまま放置しておくと、天井板にシミができたり、さらには天井板が腐れて張り替えが必要となるなど家を傷める原因となります。また、ハクビシンが天井裏で溜める糞尿はダニの発生原因となるため、天井の隙間からダニが落ちてくる可能性があります。様々な病原体を持ち込んでくる可能性もあるため、ハクビシンの侵入に気付いたら早めに対策をしましょう。
まずは追い出す
ハクビシンを外に追い出す方法の1つとして、燻煙剤を天井裏に充満させる方法があります。
追い出すことができたら、再び入って来ないように侵入口を塞ぎましょう。
(1)侵入口を塞ぐ
ハクビシンは頭が入る隙間があれば、家の中に侵入をしてきます。
「基礎の通気口」「外壁にできた隙間」「屋根と屋根が重なっている奥に開いている空間」「増築をした接続部分にできた空間」などから建物に侵入をしてきます。ハクビシンの侵入を確認するには、侵入が疑われる場所に石灰などの白い粉を撒いて、足跡(指5本)を確認する方法が有効です。
例えば、基礎の通気口からの侵入が疑われる場合には、通気口の下の地面一面に石灰などを撒くなどです。粉にハクビシンの足跡が残っていれば、その場所が侵入口となっていると判断できます。
家の周りの樹木を剪定する
ハクビシンは、垂直な外壁を登ることができないため、庭木などから屋根に飛び移り建物に侵入してくる手段が多いです。
建屋に隣接した樹木は剪定をして、屋根に移れないようにしましょう。
樹木の幹が家屋に近い場合には、ハクビシンが木に登ることができないように工夫をしたり、樹木から飛び移ると考えられる場所に障害物を置くなどハクビシンが屋根に移れないように工夫をしてみてください。
ハクビシンの餌になるものを家の周りに置かない
ハクビシンは雑食で餌とできるものは何でも食べますが、特に果物を好みます。家の敷地内に果物やペットフードなど餌となるものを放置しておくことはハクビシンが寄せ付け繁殖の原因となりますのでやめましょう。
さいごに
ハクビシンを含めた野生鳥獣は許可なく捕獲することはできません。
ハクビシンが家に侵入をした場合は煙を天井裏に充満させるなどによって追い出し、再び侵入できないようにしましょう。
自分でハクビシンを追い払い侵入口を塞ぐことが難しい場合には専門の業者に依頼をしましょう。
糞尿被害があった場合は、天井裏などを消毒することをお勧めします。