カビは不衛生なだけではなく、摂取してしまったり胞子を吸い込んでしまうと健康被害があるということは周知の事実だと思います。
しかし、具体的にどんな症状があるのか?という所までは把握していないという方が多いのではないでしょうか?
今回は、そんなカビが引き起こす病気についてご紹介していきたいと思います。カビが原因で起こる症状をしっかりと把握し、カビに対する危機意識を高めていきましょう!
カビが原因で発症する病気とその症状
アレルギー性鼻炎
カビによる健康被害の代表的なものとして、「アレルギー性鼻炎」があります。すでに花粉の季節などにはこのアレルギー性鼻炎によって辛い思いをしているという方も少なくないのではないでしょうか?
人間の鼻の粘膜というのは異物が付着すると鼻水を分泌したりくしゃみをして排除しようとしますが、これは何も花粉や細菌ばかりではなく、カビの胞子によっても起こります。
黒カビなど一部のカビには毒性がないものもいますが、毒性がないカビだったとしてもその胞子に粘膜が反応して鼻炎になることはありますので注意が必要です。
アレルギー性皮膚炎
カビが引き起こすアレルギーは鼻炎だけではなく、皮膚炎もあります。
カビにアレルギーを持つ方がカビ菌やその胞子が多い環境にいると、発疹や蕁麻疹などの症状が現れます。(カビ菌や胞子を吸い込むだけではなく、皮膚に付着するだけでもアレルギー反応が起こります。)
肌が赤く地腫れし、全身に痒みを伴うためかなりの苦痛です。さらに、痒みのせいで夜中々寝付けないという場合もあります。
また、体を掻くことによって皮膚片が剥がれ落ち、その皮膚片がまたカビの養分になってしまうという悪循環も起こります。
こうしたアレルギー性皮膚炎を予防するため、また、既に症状が出ている方の場合は症状を抑制するため、しっかりと部屋を清掃してカビ対策をする必要があります。
アレルギー性結膜炎
鼻炎や皮膚炎の他、「アレルギー性結膜炎」もカビによる健康被害の一つです。
一般的には花粉や空気中のホコリやダニなどによって起こる場合が多いですが、カビの胞子も原因になります。
結膜炎は目やまぶたに痒みを感じ、白目の充血や目やにが多く出るなどの症状が出る病気です。
花粉などが原因でのアレルギー性結膜炎の場合はその季節が過ぎれば症状も収まりますが、カビが原因の場合は部屋のカビを除去するなど生活環境を改善しなくては症状を抑えることが出来ないので厄介です。
こうした症状に悩まされないためにも、普段からのカビ対策はやはり重要ですね。
脂漏性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎以外にもカビが原因で起こる皮膚炎はあります。それがこの「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」です。
脂漏性皮膚炎というのは主に顔や頭皮などに起こる皮膚炎で、「マラセチア」という種類のカビが原因です。
鼻の周りや頭皮というのは皮脂や汗が多く分泌されやすい部分で、マラセチアはこれらを養分として増殖し、脂漏性皮膚炎を起こします。
症状自体はアレルギー性皮膚炎と似ていて皮膚の炎症、肌荒れ、かさつき、痒みなどが重ですが、頭皮に発症した場合はフケの増加や脱毛なども見られます。
気管支肺アスペルギルス症
「気管支肺アスペルギルス症」というのは、その名の通り「アスペルギルス」という種類のカビによって引き起こされる病気です。
肺の粘膜にこのアスペルギルスが入り込み、アレルギー症状を引き起こすというもので、気管支炎や肺炎、喘息といった症状が長く続きます。
また、症状が重くなると咳によって生じた痰が気管支に詰まってしまうことで血中酸素飽和度が低下し、目まいや下痢、倦怠感など、肺以外の部分にも悪影響が現れ始めます。
さらに、この気管支肺アスペルギルス症は通常の気管支喘息などと間違われやすいというのも特徴の一つで、適切な治療を受けにくいというのも難点です。
水虫
「水虫」はある意味最も我々に身近なカビによる健康被害と言ってもいいでしょう。
水虫というのは「白癬菌(はくせんきん)」というカビが足の皮膚に取りついてしまうことで発症する病気で、非常に辛い痒みを伴うことで有名です。
この白癬菌というのは人間の皮膚や爪、毛などに含まれるタンパク質を好む性質があるため、厳密には足以外の場所でも水虫が発生してしまう可能性はあります。
しかし、手などにこの白癬菌が付着してしまったとしても、それだけで水虫になってしまうというわけではありません。カビは高温多湿な環境を好むため、靴下や靴を履くことによって蒸れやすい足が主な患部となります。
水虫は足の皮膚だけでなく、爪にも侵食することがあります。昨今耳にする機会が多い「爪水虫」というのがこれです。
水虫は皮膚科などで効果的な治療を受けることが出来ますが、やはり激しい痒みによって辛い思いをするのには変わりありません。外出後はしっかりと足を洗うなど、日頃から対策をしっかりと行なっていきたいですね。
慢性炎症反応症候群
黒カビから発生する毒素によって、「慢性炎症反応症候群」という病気が発症してしまうケースがあります。
この慢性炎症反応症候群というのは、慢性的に全身に炎症が起こってしまう病気のことで、体の箇所を問わず筋肉や関節に痛みを感じることがあります。
また、痛みだけではなく筋肉の痙攣や筋力の低下などの症状も確認されています。
通常の場合、人間の体内にカビやその毒素などが侵入した場合は免疫力が働くことで症状を回復します。
しかし、一部の体質の方はカビの毒素に対する抗体を作り出すことが出来ない場合があり、結果的に毒素が侵入する度に免疫反応(上述の筋肉の痛みなど)が起こってしまう…というのが慢性炎症反応症候群の仕組みです。
こうした体質の方は家のカビを除去するまで筋肉や関節の痛みなどの諸症状に悩まされ続けてしまうことになりますので、早急な対応が必要と言えるでしょう。
腹痛や吐き気などの食中毒
誤ってカビが生えている食べ物を口にしてしまった場合、食中毒の症状が出る可能性があります。
通常、カビ菌というのは空気中や私達の皮膚などにも普通に存在している菌で、少量口に入ってしまっても胃酸によって死滅します。
しかし、目視が出来るくらいに増殖してしまったカビとなるとそうはいきません。腹痛や嘔吐、下痢、発熱など様々な食中毒の症状が現れます。これはカビが発生させる毒素である「マイコトキシン」というものが原因です。
「カビが生えてしまっても、カビが生えている部分だけ取り除けば大丈夫なのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、その考えは間違いです。
カビが目視で確認出来る部分というのはあくまで表面のカビが増殖した部分に過ぎず、カビは食べ物の内部まで根を張る様に菌糸を伸ばしています。そのため、目に見えるカビを除去してもその食べ物が安全になるというわけではありません。
また、「加熱すればカビも死滅するのではないか?」という考えも危険です。
というのも、カビの毒素というのは熱に強く、一般的な家庭の調理で使用される100~210度の熱に1時間さらされたとしても完全に消滅することはありません。
そのため、食べ物がもったいないからと言ってカビが生えてしまったものを無理に食べようとするのは危険です。残念ですが諦めて捨てるのが安全でしょう。
ガンのリスク
カビから出るマイコトキシンが原因で、肝臓ガンなどになってしまう場合もあります。
ガンの危険性については皆さんのご存知のことと思いますが、症状が進むと現状では治療が難しく、また、他の臓器などに転移してしまう可能性もあります。
ガンは長らく日本人の死因のトップとなっている致死率の高い疾患なので、可能な限りリスクは避けていきたいですね。
まとめ
いかがだったでしょうか?一言にカビによる病気と言ってもその種類は非常に様々で、呼吸器に関するものから皮膚に関するもの、そしてガンなど多くの悪影響があります。
これらのリスクを避けるためにも、日頃から掃除や換気をこまめに行うなど、カビ対策をしっかりと講じていきたいですね。