人の体内に入る食品を作る食品工場では、異物による品質問題だけでなく、人体に影響を与える菌や細菌、ウイルスについての対策を、一作業員から経営者までが真剣に考えなくてはなりません。
作業者の中には、これらの菌類が目に見えないため自分は大丈夫だろうと考え、アルコール消毒を適当にする人がいるかもしれません。
このように衛生ルールを守らずに作業を行う従事者がいると、いろいろな菌やウイルスが食品の中に混入してしまい、無差別に市場に流通させてしまう恐れがあります。
食中毒を発生させてしまうと大きな問題となってしまいます。
また、今大きな問題となっているコロナウイルス感染症についても、従業員から一人でも出れば対策を強く求められるうえ、食品を取り扱っている以上、工場内の消毒対応などが強く求められてしまいます。
食品を扱う施設や厨房、工場では、このような菌やウイルスには敏感に対応を進めなくてはいけません。
そのため衛生管理では、5Sを基軸として作業従事者一人一人が当事者となり、対応を進める必要があります。
一人一人が意識をして作業に従事しなければ、食品衛生上の問題は防ぐことができないからです。
しかしながら、衛生管理を徹底的に行っていたとしても、相手は見に見えない菌やウイルスです。
手がいき届かないところで知らない間に繁殖してしまうということもあります。
水があり、菌やウイルスの栄養が豊富にある食品加工を行うエリアは、繁殖するのに格好の場所だからです。
作業従事者への躾だけでは防ぎきれないカビ対策のような衛生管理上の問題で頭を悩まされる管理担当者の方もおられると思います。
食品の加工や製造が行われる作業エリアをはじめ、工場全体で衛生管理が必要な食品工場において、菌やウイルスの対策として活用されている「光触媒」の活用をご提案します。
光触媒をコーティングすれば、菌やウイルスを分解除去することができ、抑制することができます。
手の行き届かないところでのカビ対策にも効果的です。
食中毒対策が必須の食品工場にはぜひとも活用頂きたい対策です。
今回は、食品工場での衛生管理に必須の5Sから、なぜ光触媒がおススメできるかまで、解説します。
食品工場で衛生問題の安全性を保つための基本は5S
製品の製造をしている会社において不良品を出し流通させてしまうことは、お客様の顧客満足度を下げてしまうという大きな問題です。
故障して使えなくなるだけでしたら交換すれば済みますが、人体に影響を与えたり、最悪のケースとして人の命を奪ってしまうということもありえます。
それが食品工場の場合、作っているものが人の口に入るものですので、不良品の流出は製造した製品から食中毒をだしてしまう恐れがあります。
ここで食中毒を出してしまうと、企業として致命的なダメージを負うことになってしまうのです。
その原因が、衛生管理を怠ったことだとすれば、企業存亡の危機に陥る可能すらあります。
最悪のケースを考えた場合、口に入れたお客様の命を奪ってしまうような重大な食中毒事件に発展してしまう恐れすらあるのです。
そのような不祥事を防ぐために取り組まれている食品衛生の基本となる活動は、5Sです。
5Sは、整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(seisou)・清潔(seiketu)・躾(Shitsuke)の頭文字を取って呼ばれる言葉で、もともとは工業製品を作る工場で使われていました。
この5Sの考え方は、食品を取り扱う工場でも非常に重要です。
工業製品を作る工場では作業のしやすい安全な職場づくりという考え方から、作業のバラツキを無くし、品質と生産性を高めることを目的とした活動ですが、食品工場では、清潔で衛生的な施設作りが目的となります。
この5つのキーワードのうち、食品工場での衛生管理の目的となるのが清潔。
清潔な作業場が確保できなければ、食品の品質を保つことなど絶対に不可能だからです。
それを実現するために、職場は整理・整頓ができていなければなりません。
そして清掃が行き届かなければ、職場を清潔に保つことはできないのです。
この3つの活動を理解させ、なぜそれが必要なのかを意識して行動がとれるように、作業従事者には躾を施します。
躾をしっかり行い、活動を行っていくことによって、清潔な作業場が構築されるのです。
企業によっては、この5Sに洗浄や消毒、殺菌などのキーワードを足して7S活動としている場合もあります。
ですが、裏を返せば、この5S活動が徹底できなければ、食品工場における食品衛生は確保できないのです。
整理・整頓ができていなければ、加工時に必要なものが見つからず、不良品を流出させたり、作ってしまったりすることがあります。
清掃が行き届かなければ、カビや細菌類の繁殖のもとになってしまいます。
清掃を適当にやってしまうと、大腸菌や黄色ブドウ球菌、レジオネラ菌など、食中毒のもとになる菌を繁殖させてしまいます。
そのような事態にならないようにするためにも、躾が重要であり、作業従事者から経営者までが、目的意識を持って対処しなければいけないのです。
人の教育だけでは対策しきれない菌やウイルス
しかしながら、少ない人手で限られた時間の中で生産活動をしていると、細部の隅々まで手が回らないということも十分にありえます。
特に大規模な工場でなく、小さな町工場のような加工工場のような場合、このような問題に直面している可能性もあります。
躾がいくら行き届いていたとしても、人手と時間が足りなければ、清掃が行き届かないのです。
例えば、厨房の場合、目で見えるテーブルや床などの清掃は日常作業としてできるかもしれません。
エアコンやグレーチングなど排水周りはどうでしょうか。
恐らく日々の清掃作業の中で、ここまで手が回っていないのではないでしょうか。
エアコンの場合、内部で増殖したカビがエアコンの気流にのり、飛散される可能性はあります。
また食材からでた栄養素を含んだ水分がテーブルなどの隙間に流れこみ、普通の掃除では手が届かないようなところで溜まってしまうと、そこでもカビが繁殖してしまう恐れがあります。
このように、どうしても毎日の作業で手が行き届かない部分では、カビをはじめとして、いろいろなウイルスや菌も繁殖してしまう可能性は十分にあるのです。
菌やウイルス類を寄せ付けたくない食品工場には光触媒がおススメできる理由
実際、従業員一人一人が気を付けて衛生管理に対処していたとしても、時には食材の入った容器や箱などを経由して入り込む可能性はあります。
また、食材そのものに菌やウイルスがついていることもありますので、どうしても外部からの持ち込みをゼロにすることはできません。
そのため、それらの材料が移動する部分では、いろいろな雑菌類も付きまとうのです。
清掃頻度を高めると作業時間に影響を与えてしまい、生産性は下がってしまいます。
そのために効果を発揮するのが光触媒のコーティングです。
光触媒は、光を受けると除菌や消臭、汚れを防ぐ力を発揮し、触媒であるため継続的に効果が見込める物質をいいます。
この物質を水溶液にし、壁や床、設備全般に噴霧して極薄い膜を作ったものが、光触媒コーティングになります。
光触媒コーティングによってできた膜は、紫外線を受けることにより超親水性と酸化分解力を生み出します。
この作用により、表面に付着した菌やウイルス、ニオイの分子などを二酸化炭素や水に分解してしまうのです。
非常に強い親水性をもつため、汚れやほこりも付着しにくく、水をかけるだけで洗い流すことができるのです。
この効果より、コーティングされた部分ではカビも繁殖できないのでカビ対策に非常に効果的なのです。
蛍光灯の光でも効果を発揮する次世代型光触媒コーティング
これまでの光触媒の抗ウイルス・抗菌コーティング剤は、酸化チタンを使ったものが主流でした。
酸化チタンの光触媒は、発見当初は紫外線にのみ反応を示していましたが、研究が進むにつれ、蛍光灯などの人工的な明かりにも反応するようになったものの、太陽光など強い明るさのある光で効果の本領を発揮しています。
つまり外壁塗装や屋外で使用するような車などでは効果を発揮していたのですが、室内の蛍光灯など弱い光では効果が低いという課題を持っているのです。
光の差し込む窓が多いような空間の場合、酸化チタンによる光触媒コーティングでも効果は見込まれるのですが、食品工場によっては、窓が少なく、蛍光灯の明かりがメインとなるような製造工程も珍しくありません。
そのような太陽光を取り込めない環境でも光触媒の本領を発揮することができる次世代型光触媒のコーティング剤が作られました。
これは酸化タングステンとノンコロイドナノプラチナを触媒としたものです。
この触媒の特徴として、蛍光灯の可視光やブルーライトのカットされた可視光でも効果を発揮し、更に光がなくても効果を発揮するところがあげられます。
そして、ウイルスや臭いの素である有機物を分解する能力やスピードも、従来の酸化チタンと比べると10倍以上もの能力があるのです。
そのため、食材に付着していて恐ろしい大腸菌の一種であるO-157をはじめ、作業者の持ち込む可能性のあるノロウイルスなど、食品工場では特に気を付けたい菌やウイルス、雑菌なども酸化分解し、無害化してしまいます。
清潔を維持したい食品工場では是非対応していただきたい処置なのです。
食品工場での光触媒施工のメリット
食品工場での問題点として、躾を作業従事者に施しても、どうしても手の行き届かないところで菌やウイルスが繁殖してしまう可能性や、食品そのものについて入ってくるというものがありました。
この光触媒コーティングを上手く活用することにより、そのような問題を1回のコーティング処理で長い間防いでくれるのです。
この、光触媒は人体への安全性が確認されている濃度でコーティングします。
食品を加工する場所ですので、安全性が高く、薬剤を利用するような除菌や抗菌の効果が得られるのは、管理するうえでもメリットとなります。
光さえあれば、有機物である細菌やウイルスを水と二酸化炭素のレベルまで分解してくれるので、安全な食品をお客様に提供することができます。
触媒コーティングがされていることで、当然床や設備には残存する菌はなくなります。
そのため、衛生検査においても問題なくクリアすることができるのです。
また、昨今のコロナウイルス感染症予防への期待もされています。
食品工場での衛生管理の基本は5Sであることは変わりません。
その活動を維持しつつ更なる安全対策として、光触媒コーティングの施工はお勧めなのです。