カビは長い間放置してしまった食べ物やお風呂場などいたる所で目にするので、ある意味我々の生活に密接したものと言えます。
しかし、一概にカビと言ってもその種類は様々で、特徴も異なります。
今回は、そんなカビの種類などについてご紹介していきたいと思います。
そもそもカビとは一体何か?
カビの種類をご紹介する前に、まず「カビとは一体何なのか?」という点について解説していきます。
カビが菌であるということは皆さんご存知のことと思いますが、一概に菌と言っても細菌やウィルスのようなものとは違い、カビは真菌の仲間になります。顕微鏡で見ると糸のような構造をしていることから「糸状菌」とも呼ばれています。
細菌は単細胞生物のため、菌一つ一つが生きるための機能を持った生物で、自分を分裂させることで増殖します。
しかしカビは多細胞生物となっており、食べ物などに対し根を張るように拡がり、胞子を撒くことによって増殖していきます。(この胞子が人体に有害となり、アレルギーや様々な病気の原因にもなります。)
また、カビは基本的に特別な環境下のみにいるわけではなく、ありとあらゆる空気中や土中などに普通に存在しています。食べ物やお風呂場などに生えて目に見える状態になったカビというのは、あくまで増殖した姿ということになります。
カビは高温多湿な環境を好み、我々人間の剥がれ落ちた皮膚や抜けた髪の毛、ダニなど様々なものを栄養源として増殖します。
カビの種類について
それでは、次はカビには一体どんな種類があるのか?またその特徴は何か?という点についてご紹介していきたいと思います。
1:黒カビ
まず最初にご紹介するのは「黒カビ」です。
黒カビは正式には「クラドスポリウム」という名称で、本来は地面などのいたる所に普通に存在している土壌菌です。
そのため我々が普段生活している空間の空気中などにも多く漂っており、家の中でもお風呂場などでよく目にします。最もポピュラーなカビ菌の一つと言ってもいいでしょう。
黒カビそのもの自体には実は毒素は含まれていませんが、エアコンなどに黒カビが生えてしまうと送り出される風に乗って空気中に拡散され、アレルギーなどの症状を引き起こしてしまうことがよくあります。
黒カビは熱やアルコールに弱く、他のカビ菌に比べれば比較的楽に除菌することが可能です。
ただし、前述の通りどこの空気中にも普通に漂っているカビ菌なため対応しなくてはいけない範囲が広く、予防をしっかりしていないとすぐに生えてきてしまいます。
2:青カビ
続いてご紹介するのは「青カビ」です。
こちらは黒カビと同じくよく見るカビの一種で、正式名称は「ペニシリウム」。例えばパンなどの食品に生えてしまうことが多いですね。
ご存知の方も多いと思いますが、青カビは例えばブルーチーズやゴルゴンゾーラチーズなどの食品の生産にも使われている場合があります。(その他、薬品の「ペニシリン」の原料にもなっています。)
しかし、「じゃあ青カビが生えてる程度のパンは食べても大丈夫なのか?」と言われるとそうではありません。青カビの中にも毒性があるものとないものがあり、毒性があるもの中には「マイコトキシン」という発ガン性のある物質を含むものもいます。
加えて、青カビが生えてしまった食品というのは後述する有毒なカビも合わせて生えてしまっている可能性も高いです。
ブルーチーズなどはあくまでしっかりとした管理の下で青カビを利用しているだけなので、自然に青カビが生えてしまったような食品を口にするのは絶対にやめましょう。
3:白カビ
続いては「白カビ」についてです。
白カビは建物の建材や食品など、様々なものに発生します。
白カビはカマンベールチーズなどに利用されていることで有名ではありますが、だからと言って安全な種類かと言われるとそうではありません。
一言に白カビと言ってもその中には様々な種類の菌があり、カマンベールチーズに使われているのはあくまで安全な種類の白カビというだけです。
そのためその他の種類の白カビは基本的に毒性を持っている場合が多く、「アフラトキシン」という種類の毒を持っています。
このアフラトキシンには肝臓病を引き起こすリスクがあり、最悪の場合は死に至ってしまう場合もあります。
日本の白カビにはこのアフラトキシンを発生させる白カビはいないとされていますが、海外から輸入された食べ物などに白カビが生えていた場合はアフラトキシンが発生する場合もありますので、基本的に白カビが生えてしまった食べ物は摂取しないようにしましょう。カビが生えている部分だけを取り除いて食べるというのも危険です。
4:赤カビ
次は「赤カビ」についてです。
赤カビは地面などの土壌に多く生息しているカビ菌で、正式な名称は「フザリウム」と言います。(赤カビという名前ですが、ピンクや薄黄色など様々な色で見られる場合があります。)
赤カビは広い範囲で発生するのが見られるカビ菌で、畑などの作物に寄生して植物を枯らしてしまったり、パンなどの食品に生えたり、エアコンのフィルターなどに生えたりします。
そして、赤カビは先にもご紹介した毒素であるマイコトキシンを含んでおり、ガンの発症リスクの増加以外にも吐き気や下痢、免疫機能の低下など様々な健康被害をもたらします。
そのため、エアコン等に赤カビが生えてしまった場合などは長く放置していると家族全員が健康を損なう危険性があるので、しっかりと対処する必要があります。また、赤カビの生えた食べ物は絶対に口にしないようにしましょう。
余談ですが、お風呂場の排水溝などに赤やピンク色をした汚れを見ることがありますが、あれは赤カビではなく「ロドトルラ」という酵母菌の一種の場合が多く、カビと違って簡単に除去することが可能です。
5:緑カビ
次は「緑カビ」について解説していきます。
緑カビというのは青カビに似ているので混同されることもありますが、正式名は「土青カビ」と言って全く別の種類のカビ菌になります。
緑カビは畳の裏や建物の木材などに生える場合が多く、建物を劣化させてカビ臭い匂いを発生させる他、胞子を吸い込んでしまうとアレルギーなどの症状を引き起こす原因にもなります。
また、建材だけではなく家具やその中にある衣服などにも発生する場合があるので注意が必要です。
鉄筋コンクリートの建物の場合はあまり見る機会が多くないかもしれませんが、木造建築の場合は梅雨の時季などによく発生してしまいます。
6:黄カビ
最後に「黄カビ」についてご紹介します。
黄カビは正式名称「カワキコウジカビ」と言います。
通常、カビというのは多くの場合高温多湿な環境を好むものですが、この黄カビはカワキコウジカビという名前が表す通り乾いた場所を好む性質があるちょっと変わったカビです。
そのため、ガラスやフィルムなどに生える場合が多く、カメラのレンズに曇りを生じさせるのもこの黄カビが原因である場合があります。
また金属の錆などもこの黄カビの影響と考えられています。
その他、青カビが生えないような乾物などの保存食系の食べ物にこの黄カビが生えることも少なくありません。
まとめ
今回はカビの種類や特徴などについてご紹介させていただきました。
黒カビのように毒性のないカビも存在しますが、毒性はなくても胞子を吸い込むことでアレルギーの原因になってしまったり、「カビが生えている=他の毒性のあるカビも一緒に生えてしまっている」というパターンも多いため、基本的にはカビには近づかない、またはしっかりと対策をして予防をしていくというのが正解です。
カビに対する知識をしっかりとつけ、適切な対処をしていくように心がけましょう。